健康豆知識

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Mini Information about Health



医療とオーリングテストに関するコラム集です。
医療法人 近森会の院内誌「ひろっぱ」に筆者が執筆したもので、平成9年9月から平成10年3月まで掲載されました。

1998年03月18日 展示
 改装


目次


ひろっぱ134号(平成9年9月)

圧痛とオーリングテスト

 皮膚を圧迫することによっておこる痛みを圧痛といいます。胃炎をおこしているとき、みぞおちのところに押さえて痛く感じる部位があることを経験した方もいるかと思います。その直下に炎症があれば、その部位の知覚神経がわずかな刺激にも反応しやすくなって少し押さえただけで痛みをおこします。
 病的圧痛点では、痛みをおこさない程度の力を加えても筋力が低下するという現象があります。ニューヨーク心臓病研究所所長の大村恵昭博士は、圧痛点と筋力の関係などを研究しました。圧痛をおこすためには、病的部位で1平方ミリメートルあたり最低80〜100グラム、正常部では約150〜500グラムの力が必要であることがわかりました。一方、筋力低下をおこすにはわずか0.1グラム以下の力でもよいことをつきとめ、圧痛で調べるより診断的感度が高いことがわかりました。
 大村教授は臨床で正確な診断ができるように、脳で広い領域を持つ指を輪の形(オーリング)にして筋力を調べることにしました。また、西洋医学的検査法とつきあわせながら正確な臓器代表点を探索し、オーリングテストができあがりました。


ひろっぱ135号(平成9年10月)

副作用と薬物適合性試験

 かぜ薬をのんで眠くなってしまったことはありませんか? 薬が持っている作用のなかで、治療に必要でないものを副作用といいます。たとえば有効率が80%で副作用が10%という薬の場合は、8割の人に効果があり2割の人には効果があまりなく、また1割の人は不必要な作用があったということです。人によっては良くならないばかりか副作用で体調を悪くする可能性もあります。人を治すはずの医療で悪化させてしまうということは、あってはならないことです。しかし、現実に確率の問題で副作用が発生してしまいます。
 そこで、医療をする側では、体調や、過去に薬をのんだときの反応をきいたり、薬の量や組み合わせを考えてできるだけ副作用をおこさないようにつとめています。よく使っている薬の場合は、こんな体質の人には副作用が起きそうだなと推察がつくものもあります。漢方薬は長年にわたる経験で、どのような状態の時にはどの薬が合うということがわかっています。もちろんその病態を見誤ると、漢方薬でも有害な作用をおこすことがあり、これを漢方では誤治といいます。
 オーリングテストでは薬物適合性診断といって、薬を飲む前にその人にとってその薬が効くのか効かないのかを判定する方法があります。動物が食べ物を口に入れる前に鼻や舌を近づけますが、手に薬をのせるだけでも、その物質の情報を体がキャッチし、脳が反応を起こしています。体にいい物は筋力を強め、悪いものは筋力を低下させます。その反応をうまく調べることによって薬の有効性や副作用を予知できるようになりました。


ひろっぱ136号(平成9年11月)

細菌感染と存在診断

 細菌感染による病気を疑った場合、その診断のためには原因となった細菌の検出が重要です。さらにどの薬剤が効くかを調べることによって、より確実な治療を行うことができます。
 たとえば肺炎の場合には、痰を取って調べますが、口腔の菌が混じるのを避けたり、抗菌剤を使う前に調べるなど、原因になっている菌を正しく検出する工夫が大切です。どんな菌か見分けるために色素で染めて顕微鏡で形を調べますが、正確に同定するには培養によって菌を増やし、取り分けて純培養します。薬の効き具合を調べるには、抗菌剤の入った培地で菌を培養し、どの程度発育が抑えられるかをみます。
 ここまでで通常の細菌の場合数日を要しますので、初期の治療は医師の経験的判断にゆだねられることになります。そこで近年、免疫学の手法により数分で細菌の特異抗原を検出する迅速診断法が開発されてきています。
 オーリングテストを開発した大村恵昭博士は、同じ物質が近づくと筋力が減弱する現象を見つけました。例えば結核の患者さんに結核菌の顕微鏡標本を手に持たせてオーリングテストをすると、指の力が抜けてオーリングが開いてしまいます。同じ分子構造をもった物からは同じ性質の電磁場が出ており、共鳴現象を起こすことが筋力変化と関係していると考えられています。このオーリングテストの存在診断を使って、簡便にその場で感染菌を推定することができるようになりました。


ひろっぱ137号(平成9年12月)

画像診断とイメージング

 X線で骨や肺の病変を見つけたり、バリウムを飲んで胃潰瘍や癌をみつけるなど、病気の情報を画像として描き出して診断することを画像診断といいます。X線のほか放射性同位元素を用いたり、超音波や核磁気共鳴を用いる方法があります。また、コンピューター処理を用いて体の断面像を合成するなど、技術の進歩とともに様々な病変を微細に描出できるようになってまいりました。
 大村恵昭博士はオーリングテストを用いて、体表面上に臓器や病変を描き出す方法を考え出しました。その方法をイメージングとよんでいます。
 異常部を調べる場合には、体表を刺激する点を少しずつずらしながらオーリングテストを繰り返し、筋力が変化し始める境界にマークをつけます。それを病変の全周囲にわたって調べ、マークを結ぶと形が描かれます。正常臓器の標本を手に持たせて調べると正常臓器が体表面上に投影された形で描出されますし、癌などの病理標本を使えば相当する病変の位置・形・大きさが示されます。
 写真の例は、血液検査で腫瘍の指標値が上昇しているけれど、腫瘍があるかどうか、どこにあるのか調べて欲しい、との依頼を受けたものです。オーリングテストで円形に塗りつぶしてある部位に腫瘍の反応が見つかりました。どの臓器にあるのか調べるために膵臓の顕微鏡標本を手に持たせ、筋力の変化する協会を順次プロットしていくと、膵臓の形態が描出できました。このようにして、胃・脾臓・結腸と、イメージングしていくと、病変は結腸の脾湾曲部に顔を出していると考えられました。そこで、大腸ファイバースコープをしてもらったところ、同じ部位に腫瘍が見つかりました。


ひろっぱ139号(平成10年2月)

かぜとインフルエンザ

 かぜにかかったことのない人はまずいないでしょう。そのほとんどはウイルスによって引き起こされます。普通のかぜは、鼻やのどの症状から起こってきますが、インフルエンザは最初から急に熱が出て、体中が痛くてだるくなります。ウイルスに対する特効薬はまだありません。寒さにあたったり疲れていると、鼻やのどにウイルスが感染しやすくなっています。抵抗力を落とさないようにすることがかぜの対策で最も大切なことなのです。

 ワクチンの接種は、免疫を高め、感染を防ぎます。型が違ったり、普通のかぜを起こすウイルスには効きませんので、接種を受けても油断しないようにして下さい。
 うがいをすることは予防に役立ちます。うがい薬のほか、身近なところではお茶が有用です。昭和大学の島村忠勝教授の研究で、日本茶や紅茶にふくまれているカテキンに、ウイルスを取り囲んで細胞への感染を防ぐ作用や、いろいろな細菌を殺す作用が確認されています。出がらしのお茶でうがいしても効果があります。
 ウイルスは、空気中に飛散して感染する他に、人の手指を介しても感染します。人はときどき知らずに鼻を触っています。感染した人の手指に病原体が付着し、それが接触したものを他の人がさわって、その人が自分の鼻を触ることによって感染をおこすことがあるのです。その意味で、手を洗うことは感染の予防に重要です。ウイルスの表面の多くは脂肪分で、石鹸で洗い流すことが可能なのです。
 かぜをひいてしまったときは、薬を飲んで症状を抑えることよりも、暖かくして休むことが最も肝要です。免疫力を活かしてウイルスを排除するのです。温かくて消化のよいものをたべ、水分を補給し、体力の回復を促進させましょう。


ひろっぱ140号(平成10年3月)

病気の発生と慢性化

 病気が発生するのには原因があります。風邪の場合を例にとると、ウイルスや細菌が鼻やのどの粘膜に感染して症状が起こってきます。しかし、同じ菌に接触しても症状が軽かったり、感染を起こさずにすむ人もあります。攻撃してくる病原微生物に対して、守る側の生体の免疫の働きが病気の発生や経過に関係してくるのです。

 心身が疲労していると、免疫機能が低下して病気になりやすくなっています。症状は生体の重要なメッセージです。疲れるとだるくなるのは、休む必要があるからですし、眠くなるのは、脳が休養を必要としているからです。そのサインを無視して活動していると病気になりやすい状態を招き、さらにいくつかの要因が加わると病気を引き起こしてしまいます。症状だけを抑える薬で無理を続けていると慢性化し、ついには休養をとっても病気が治らない状態におちいります。
 大村恵昭博士は難治性の病態をオーリングテストで調べ、局所的な循環障害が加わっている場合が多いことを見つけました。病気を治す免疫物質や細胞が病巣部に十分集まることができなかったり、服用した薬も到達しにくくなっているものと思われます。さらに有害な物質が沈着して病気が複雑になっている場合もあります。そのような病態を治していくには、原因に対する治療の他に、病巣部の循環をよくすることを考慮しなければなりません。循環をよくする薬を使ったり、反応点を刺激したりします。
 しかしそうなる前に、体のメッセージに耳を傾けて下さい。原因をのぞいて誘因を避け、体が望んでいることをすることによって、病気の治癒を促進し、健康を保つことができるようにしていただきたいと思います。


オーリングテストの基本的方法については基礎コースをご覧下さい
ご意見、ご質問などは電子版オーリング文化センター運営室<oring@baobab.or.jp>までメールをお寄せください。

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展示および記載責任者: 山本重明 Shigeaki YAMAMOTO